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経営承継を迎えるにあたってオーナーが準備すべき3つのこと

FBAAフェロー 大井大輔

事前の経営承継の準備が会社を救う

事業承継は、一般的に、株式などの資産承継と、経営承継の2つに分けられます。

前者の資産承継については、税理士などが株式承継サービスなどを提供していること、また、金銭(節税)も絡むためにオーナーが興味を持ちやすく、取組みの動機が働き、すでに対応していることが多いと思います。

しかし、後者の経営承継は具体的なサービスが少なく、また、オーナーとして後継者に経営をすぐには譲りたくないなどの背景もあり、うまく進んでいないことが少なからずあります。

その場合、オーナーがお亡くなりになったタイミングで何の準備もないままに後継者に経営を引き継ぐことになります。

実際、オーナーが急死したなかで後継者が社長を引き継ぎ、株式承継対策もしていなかったために、相続税の支払いのために借金をしたとか、先代の取り巻きが幅を利かせていてしばらく経営がうまく機能しなかったなどの苦労話もお聞きします。

現在、企業を取り巻く環境は急激に変化しており、経営承継の混乱によって企業の存続が危ぶまれることもあります。

実際、経営承継のタイミングで、約3割の企業しかが存続できないという調査結果もあります。そのような不幸なことにならないために、ファミリービジネスを永続させていくために経営承継としてどのような準備が必要かについて、これまで、ファミリービジネスを支援してきた経験を共有したいと思います。

経営承継の3つの要諦

これまで創業者や中興の祖と呼ばれるオーナーからその後継者への経営承継が成り行き任せになってきたことが多いように思いますが、これからの経営承継においては、オーナーが経営を担っている間に積極的に経営承継の準備をすべきです。

具体的には、

1.後継者が経営できるような体制を整備すること

2.急な事業環境の変化に備え利益を確保しておくこと

3.ファミリービジネスを永続させるべく家族の関係を取り持っておくこと

の3点に着手すべきで、これはオーナーしかできないことでもあります。

1.後継者が経営できるような体制を整備すること

創業者や中興の祖と呼ばれるオーナーはファミリービジネスにおいては絶対的な存在で、その指示に対して反対するものは少ないことでしょう。

しかし、後継者は、そのファミリービジネスにおいては新参者であり、従業員から十分に信頼(支持)されていないケースも多いように思います。

そのため、急な経営承継を迎えると、従業員、特に前オーナーの取り巻きとの関係が調整できず、うまく企業運営できないケースも散見されます。

そこで、オーナー時代のいわゆるワンマン経営から後継者及び経営幹部を中心とした合議的な意思決定を行う『チーム型経営』へ経営スタイルを変革していく必要があります。

具体的な取組みとしては、合議的な意思決定をしていくには、事実(データ)に基づく必要があり、これまでの勘と経験に加えて、業績管理制度を構築し、どのセグメントが儲かっているとか、儲かっていないかが分かるような制度が必要となります。

そのような制度、他では予算編成・予実管理、目標管理制度、人事制度なども含めて、より合理的な経営スタイルに移行すべきです。

そのような経営スタイルは現オーナーには不要であっても、将来の経営承継を見据えて、導入すべきです。

図1

2.急な事業環境の変化に備え利益を確保しておくこと

現在、経営承継において、親族などに承継されるケースは3割程度に留まり、企業譲渡するなどのケースが増えています。

その要因は様々ですが、1つは後継者がいるにも関わらず、会社自体の魅力が少なく、その会社を引き継ぎたくないという場合も多いように思います。

また、オーナーが大変な企業経営をご子息に背負わせたくないということもあります。

確かに現在のような事業環境で経営活動を推進していくことは大変なことです。後継者に経営を引き継いでもらうために、オーナーは会社を魅力ある会社にすべきです。

先にあげた『チーム型経営』の構築もその1つで、その『チーム型経営』の推進によって、急に事業環境が変化し、一時的に経営が悪化しても会社が傾かないぐらいの内部留保(利益)を確保しておくべきです。

そのような魅力ある会社を後継者に引き継ぐという意識をオーナーは持つべきです。

一方、後継者の心構えとしても、そのような素晴らしい会社をオーナーである父から譲り受け、後世にもしっかりと引き継いでいくという意識を持ったうえで経営のバトンを受けるべきだと思います。お互いを思いやる気持ちが大切です。

3.家族の関係を取り持っておくこと

企業業績は良かったものの、何かをきっかけに親族間での争いが生じ、経営がおかしくなった企業は少なくありません。

このような親族間のトラブルは、親子間、兄弟間の関係において昔から仲が良くない、もしくは、お互いに関心がないことで発生することが要因となります。

ただ、そのような親族であっても、オーナー、特に創業者の話であれば聞く耳が持つ場合も多く、オーナーが生前のうちに後継者であるご子息との関係をどのように持つのか、また、特に後継者以外に就業していないが株式を持つ兄弟姉妹がいる場合は、その兄弟姉妹との間で良好な関係性を築いておくこと、会社にその他のおじ、おば、いとこなどの親族が就業している場合は、後継者とその親族との関係性を事前に築いておくことが重要になります。

よい関係が築けないまま経営承継を迎えた場合、紛争の遠因となります。

オーナーが経営承継に向けて準備すべき3つのことはすぐには実現できません。そのため、後回しにせずにできるだけ早期に着手され、将来、うまく経営承継が進むように願っています。

Author Profile

https://jfbmc.co.jp/

株式会社日本FBMコンサルティング 代表取締役 大阪府大阪市生まれ。 大阪大学工学部卒業、大阪大学大学院工学研究科応用生物工学専攻博士前期課程修了。 前職 株式会社日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 上席主任研究員。 (中小・中堅企業から上場企業の経営コンサルティング業務に14年間従事) 2016年にファミリービジネスに対して、経営・所有・家族の視点から 統合的かつ専門的なコンサルティングサービスを提供すべく、 株式会社日本FBMコンサルティングを創業。 公認内部監査人(CIA) 基礎心理カウンセラー 税理士(大井大輔税理士事務所:認定経営革新等支援機関(経済産業省認定機関)) 一般社団法人FBAAファミリービジネスアドバイザー資格認定証保持者(フェロー)
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