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同族経営から同志経営へ ~企業の永続性に向けたアプローチ 〜

日本ファミリービジネスアドバイザー協会

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考察ということなんですが、5年間やってきましたけども、ひとつ大事なことは、会社には会社のミッションというものがありますが、現場には現場のミッションがある。

つまり、現場で働く人には現場の思いというものがある。作業環境が暑いのをもう少し快適にしてほしいとか、残業減らして欲しいとか、そういった思いが互いにキャッチボールできるような組織にしなきゃいけない。

会社としての思いを一方的に伝えるだけじゃなくて現場の思いも会社が受取ってちゃんと循環させることができる組織に近づけていかなければいけないと、E社の製造のこの結果を見て私は強く思いました。

 

それから、事務系と製造系、男性と女性、正社員とバイトという区分、あるいは50歳ぐらいの年齢を境にして、従業員の意識が変わるように感じていますのでO50とU50など、それぞれの属性へのアプローチを変えた方がいいかなと、方法論みたいなものを違えていかなきゃいけないんじゃないかなということを感じています。

 

また、上手くいっている会社ではどういう特徴があるかといいますと、このB社は介護事業の会社で、C社は酒造の会社なんですが、これらは非常に上手くいっているわけですが、こういう会社に言えることは、自律思考の幹部がいるということです。

先程言った自律というループの中で、自分は他律じゃなくて自分が思うように仕事をしたいということを堂々と主張できるような幹部がいることは、単純なようですが非常に大きいポイントだと思います。

 

あと、組織サイズの問題というのもあります。やはり100名ぐらいを越えてくると、どうしても中間管理層の強化、つまり組織の階層化を意識しなきゃいけなくなります。

B社、C社のように50人ぐらいまでの規模であれば、ひとつの部屋に一堂に会して話をすることが出来る。そして皆の意見を聞くことも出来る。そこでうまく一体感を作ることができるわけです。

これが例えば100名、200名の組織になってくると、そのためにわざわざ場所を借りて皆を集めて話をしなきゃいけない。そうなると、そういうことはそう頻繁にできるわけではありませんし、どうしても中間管理層が必要になってくる。

そうすると彼らが何を伝えるか、彼らが理念をどう理解して伝えるかということが非常に大事になってくるので、中間管理層がある組織というのはなかなか同志経営化に時間がかかると感じます。

 

最後に、このD社で起きたことをお話します。

D社は今は約10名という非常に小さな組織で、茨城県にある子会社です。実は、この会社から私は大きなことを学ばせてもらいました。この会社は数年前に買収して傘下に収めた会社だったんですが、なかなか黒字化ができなくて、経営が厳しい会社でした。且つ、2011年に東日本大震災で工場が損傷してしまいました。

一応製造は続けられる状態だったんですが、しばらく操業を停止せざるを得なかった。また、2011年の段階では茨城県の産品に対して安全面の風評被害も出ていて、事業継続の見通しが非常に難しくなってしまいました。

私は、この会社はもう結論を出さねばならないと考えて、茨城に行って従業員を集めて話をしました。今期業績が黒字化しなければ、もし赤字が今期も続くようであれば、私はオーナーとしてこの会社を潰さなきゃいけないと。

私は内心もう潰れても仕方ないと思っていたんですが、結果を言うと、この会社は今年(※2013年9月期)黒字化したんです。何が起こったかといいますと、まず従業員が半分に減りました。辞めていきました。

そして本当にこの会社を残したい、頑張ろうという人だけが残ったわけです。その中で皆が非常に自律的な思考を持つようになりまして、潰れるのはかなわんから、上はもう助けてくれないということを言ってるから、自分達でなんとかしようじゃないかという機運が出て来たのです。

そういう中で、徐々に数字が良くなって、採算が合うようになっていったということです。もう本社に依存できない、自立するしかない、という思いに至れば、それをきっかけに組織が自律することもあるわけですね。

これは荒療治ということになるわけですが、そこのところのきっかけを作れるのも、またオーナーの仕事なのだということを私はこのD社の事例を通して気がつくことが出来ました。それは大変な判断ですが、逆に言えばそういう大変な判断もオーナーであればできるということで、それを正しくすれば組織を救うこともできると思った次第です。

ご清聴有り難うございました。

 

参考資料

 

【浜田吉司氏プロフィール】

1963年老舗和菓子メーカーの次男として生まれる。慶応義塾大学卒業後、証券会社勤務を経て、マスヤグループ各社の経営を順次引き継ぐ。1994年㈱マスヤの創業第二世代の社長に就任(30歳)。中国合弁事業、介護事業などを起業。2001年から通算一年間、カリフォルニア大学経営大学院へ留学。2007年に関連企業で大きな不祥事が起きる。これをきっかけに「理念に基づく経営(理念経営)」の実践に取組み始める。2010年度から3年連続で、マスヤグループから経営品質賞(経営品質協議会/日本生産性本部)の受賞企業を出す。(※2013年度も受賞し、4年連続となる)現在、マスヤグループ持株会社の株式会社マスヤグループ本社・代表取締役。

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