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同族経営から同志経営へ ~企業の永続性に向けたアプローチ 〜

日本ファミリービジネスアドバイザー協会

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能力の開発ということでは、先程言った仕事塾、それからMY委員会というのがあります。これはますます(M)良い(Y)会社をという言葉の略なんですが、委員会的な活動。他に、自主的に社内報制作などの活動もしております。

そしてこのU-35、U-50、O-50というのは、これは35歳以下、50歳以下、50歳以上ということで、役職に関係なく年齢によって従業員を3階層に分けて、そのそれぞれの年代による組織における、あるいは教育における役割というものを認識しようということで、世代毎のいろんな研修活動をやっております。

最近では各社の自主的な取り組みとして、メンター・メンティを設定するとか、あるいはローテーション人事に力を入れて取り組んでおります。

あとは社会への情報発信ということで『理念経営実践報告書』ですが、これは会社案内を兼ねておりますけども、こちらを毎年作成して、関係者、いろんなお取引先とかに配らさせて頂いております。

 

それから地域貢献では工場見学の受け入れを非常に積極的に行っておりまして、大体1年間で2000人ぐらいの方に見学に来て頂いております。

殆どは小学生とか幼稚園とか地元の子供達ですけども、年間2000人と言うとほぼ毎週どこかの学校が見学に来てくれているという感じです。

また、ビジネス関係でもお越しになることがあります。三重県内の県立の高校の校長会の皆さんが、就職先会社として、どういう経営をされているかといった見学会で来られることもありました。

それから地域の若者教育への協力ということで、小・中・高・大学などの学校に私が行って話をすることもあります。職場の実習体験ということで、学生インターンに来てもらって協力をすることもございます。

 

そしてここ1、2年の間は、「自主自立経営」をスローガンに、次のステージに入っております。

まず、各社でミッションを設定致しました。経営理念だけだと抽象的で、グループ全体の概念ですので、各社にとってのミッション、使命のようなものを制定する必要があるということで、ミッションの制定を行いました。

各社のミッションはつぎの通りです。

 

● マスヤ(米菓事業)は、「いつも変わらないおいしさとワクワクドキドキをお届けします」

● 伊勢萬(酒造事業)は、「伊勢随一の地酒・地焼酎メーカーとして伊勢を愛するお客様の期待に応えます」

● エムケイ・コーポレーション(介護事業)は、「地域のお年寄りに、笑顔と元気をお届けします」

● 日乃本米菓製造(米菓事業)は、「あられ・おかきが大好きな皆様の心を響かせる米菓メーカーを目指します」

● グループ本社(持株会社)は、「マスヤグループの総合的な企業価値と経営品質の向上を目指します」

● 天津マスヤ(製菓事業)は、「上質な食品を作って生活を豊かにします」

● 香港マスヤ(商社)は、「香港における日本と中国の総合食品コンシェルジュを目指します」

 

これらのミッションの下で各社執行部に対するエンパワーメントといいますか、自主自立経営を委ねることで、いろんなことについて自発的にやって進めていこうということで今その体制を進めています。

 

また、各社で経営方針納得会というのをやっています。これは経営の「見える化」なんですが、半年に1回の開催で、今の経営の状態がこうなっていて、社長としてはこういう方針で行くよ、そして営業責任者はこう考えているよ、製造の責任者はこう考えているよということを直接皆に話して、その後は皆でそれに基づくディスカッションをするという形で、会社によってはたっぷり1日かけてやっています。

説明会ではなくて納得会という名称にしているのは、説明するだけじゃなくて納得してもらうのが目的ですよということです。

最近は、持株会社と各社の関係、経営目標とするところは、これくらいですよ、それから利益水準ではこのくらいですよということを、お互いに共有して、それに基づいてどういう施策を立てているかというレベルでの経営管理体制に移っております。

 

組織に自律性を育むためには何が必要かということですが、心理学者のエドワード・デシが、こう言っています。

「自律の対立概念は“統制”であり、統制は服従か反抗を招く。その反面、組織によって示され与えられた規範やしきたりが成員の内面の自己、すなわち偽りのない自分と“統合”された時には自律性が生じる」。

つまり、組織の理念がメンバー個々の腹に落ちた“統合”状態の時に自律性が生じる。統合というのは、自分を組織や社会などより大きな存在との一貫性へ移行させていきたいという本能の所為でもある、というのです。

これに基づいて、自律をどう高めていくかということがマスヤグループで取り組んでいることです。この『自律支援モデル』は、自分の頭で考えたくないという他律状態から、自分の頭で考えてみよう。そして上手くいけばそれが嬉しいからまた自分の頭で考えるようになる。

皆の役に立てば更にそれが貢献感を伴って、また自分の頭で考えたくなってくる。これが「自律強化の2つのループ」です。

一方、自分の頭で考えたくないというのは、上に従っていればいい、そうすれば気楽だな、というのが「依存のループ」で、これは他律です。

それを自分の頭で考えてみるんだけれども、上手くいかない。上手くいかない場合は、やっぱり考えたくない、いや俺考えても上手くできないのだということになって、「挑戦のループ」の中で動いてしまうことになる。

それが自分の頭で考えて上手くいくためには、教育とか研修でよく学ぶことが大切であるということで、皆がこの「自律のループ」に入ってもらいたいなということがグループとして今取組んでいることです。

 

自律支援モデルを2008年にスタート致しまして、そして今(※2013年)5年目になります。2011年と2013年の段階で、従業員の意識調査を外部機関を使ってアンケートを取りました。2011年の調査というのは、2008年から2年半経ってやって、それから更に2年やって2013年ということで、必ずしも介入前・介入後という形での調査比較ではありません。

まず、理念浸透に関する調査を行いました。理念の浸透状況というのは5段階で、①知りません、②知っています、③共感しています、④自分の行動に反映させています、⑤自分の言葉で語ることができます、の5段階です。

調査結果は、2011年の段階、2年半取り組んだ結果として、ほぼ100%の人が知っていて、そして共感している人も半数以上いるということで、理念浸透については非常に効果が現れたかなというふうに感じております。

 

問題は、自律性と信頼性の調査結果でした。調査方法は、日本生産性本部が経営診断のために用いている質問の中から、従業員の自律性を示すと思われる質問6問、信頼性を示すと思われる質問を4問の計10問を選んで行い、グループ各社と全国平均との結果を比較しました。

自律性の質問で聞いているのは、自発的・内発的に仕事が出来ていると言えるかどうか、そういう組織になっているかどうかということです。信頼性の質問で聞いているのは、仕事の連絡は上手くいっていますかとか、上司を信頼していますかということです。

11年と13年の比較をしますと、横ばいと言うか、ちょっと良くなってるが、中にはちょっと下がってるかなというところもあります。各社毎にバラツキがあって、いい結果だけが出てきているわけではない。

まあ冒頭でお話したロー・パラダイムではないですけれども、やっぱりこの道のりは結構長いなと私は感じています。3年とか5年という単位じゃなくて、もっと10年とか長く取り組んでいかなくてはと痛感しています。

特に、E社の製造部門というのが悪い結果になったので、これがどうしてこの変化になったのかなということをいま検証というか反省をしているところです。これは今年(※2013年)の8月に調査したのですが、ちょうど非常に生産がタイトになっていて、時間外労働とかが非常に増えているということなども、その結果のひとつの原因かなと思っています。

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